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無情も嵐も踏み越えて (1)

「あなたが、有名な凄腕の黒魔道士《魔剣グラム》さん、ですか?」  小春日和というにまさにふさわしい穏やかな晴天の下、小鳥のさえずりものどかな昼下がり。  なけなしの金銭をはたいて、行きつけのパン屋「クィーンメリー」から食料を調達してきた...
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プニプニパニック ~そして街は戦場になった~ (後編)

 その日の夕方。  奇妙なものが、シャザレイム城下町の郊外の森を移動していた。鮮やかな朱金色に染まった空の色を、つやつやの表面に照り返す、プニプニの集団である。  その大行列は街の城門からずっと続いており、そして行列の最前列を、幼児を引...
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プニプニパニック ~そして街は戦場になった~ (中編)

「どぅうわぁぁあああっっ!!」  絶叫。まろぶような足音。何かが倒れる騒音。そして、それらのすべてを飲み込む圧倒的質量感を持った何かが、低くどろどろと押し寄せる物音……。 「ひいいぃぃぃぃーっ!!」  あらん限りの空気を肺の中から搾り...
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プニプニパニック ~そして街は戦場になった~ (前編)

 エミル少年の、魔法における師匠である黒魔道士カーレルには、奇抜な、というよりも奇特な知り合いが多い。 「……あれ?」  その日の夕方近く、バイト先の食堂兼居酒屋「ドラム・カン」からの帰宅途中。エミル少年は道端で妙なものを見つけた。...