無情も嵐も踏み越えて

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無情も嵐も踏み越えて (7) -完結-

気持ちの良い朝の光が差し込む、宿屋の廊下にて。「あら、もうレラ姉さんに会ったんですか? さすがですねえ」 と、「こんな宿もあるさ亭」の店主トーマスの愛娘リラが、にこにこと笑いながら言った。「先日から、こちらの魔道士ギルドに異動になったそうで...
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無情も嵐も踏み越えて (6)

魂が抜けてしまったような顔で、おそるおそる、エミルは持ち上げた自分の掌を見た。その手は細かく震え、一瞬で大量の血を失ってしまったように冷え切っていた。 路地の石畳に両膝を落としたままのエミルの側に、硬いヒールの音を控えめに立てながら、レラが...
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無情も嵐も踏み越えて (5)

エミルとレラが叫ぶのと、ほぼ同時に。 無数の火炎弾と、かまいたちに似た空気の刃が、空中や魔道士達のかざした掌から、カーレルに向かって連続で発射された。が、それは未だに効力を失っていなかった金色の光の壁によって、微動だにしなかったカーレルの正...
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無情も嵐も踏み越えて (4)

考えてみれば今夜どこかに泊まる算段もしていない、というエミルに、仕方なくカーレルは、「今夜一晩なら部屋で寝かせてやる」と言い、連れ立って食堂を出た。「ただし床で寝ろよ。あ、ちなみに余分な毛布もねえからな。そのへんはてきとーに自分でなんとかし...
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無情も嵐も踏み越えて (3)

エミルは呆然としていた。並んだ皿の上から次々に消えてゆく、料理の量とスピードに。 カーレルが自宅がわりに滞在している安宿「こんな宿もあるさ亭」から、徒歩でしばらく行った先にある、薄汚れた食堂である。幾つかのランプで照らされただけの、薄暗く椅...
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無情も嵐も踏み越えて (2)

エミルはまさに針のむしろに座る心地で、ギシギシという軋みを発する粗末な木製の椅子に腰を下ろしていた。「いったいどうしてくれんだよ、ええ?」 借りてきた猫のように身を小さくしてうつむいている少年の前には、古ぼけたテーブルを挟み、同じく粗末な椅...
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無情も嵐も踏み越えて (1)

「あなたが、有名な凄腕の黒魔道士《魔剣グラム》さん、ですか?」 小春日和というにまさにふさわしい穏やかな晴天の下、小鳥のさえずりものどかな昼下がり。 なけなしの金銭をはたいて、行きつけのパン屋「クィーンメリー」から食料を調達してきたその帰り...