優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (6) -完結- 「朔ってさぁ……何歳?」 なんとなく、麻奈は切り出す。 本当はもうこの世に存在しない少年。五年も前に、彼を知る全員の前から、突然姿を消してしまった少年。 彼に何があったのだろう。 その問いかけに、朔は小さく小首を傾げた。幽霊... 2020.08.20 優しい月-Missing link-
優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (5) 「遠藤くん」 と、その夜も窓のノックと共に訪れた朔に、麻奈は呼びかけた。 「……て、いうんだね。どーりで名前に覚えがあると思った。街中大騒ぎだったもん、あのときは」 いきなり呼びかけられた朔は、明らかに驚いた顔をしていた。 し... 2020.08.20 優しい月-Missing link-
優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (4) 「麻奈は、大学にはいかないの?」 朔にある日、何気ないように尋ねられた。どうしても学校のことが気になって、今授業はどこまで進んでいるのだろうかと、教科書をぼんやりとぱらぱらめくっていたときのことだった。 「……わかんない。あたし、ヒキ... 2020.08.20 優しい月-Missing link-
優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (3) 翌朝になっても、麻奈の家は冷え切ってガランとしていた。 パジャマ姿のまま、雨戸が締め切られて暗いリビングに降りていくと、テーブルの上に一枚のメモといくらかのお金があった。 仕事が忙しいことと、しばらく帰宅できないという内容の母親の... 2020.08.20 優しい月-Missing link-
優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (2) 自宅に着いたら、あと二時間ほどで日付が変わるというくらいの時間になっていた。 住宅街の中にある、ごく一般的な一軒家の窓には、しかしひとつも明かりは灯っていなかった。 暗く沈んだその光景を見て、麻奈は気分がすとんと沈み、それで自分は... 2020.08.20 優しい月-Missing link-
優しい月-Missing link- 優しい月-Missing link- (1) 「やめた方がいいよ」 そんな声がいきなり、まったく予想もしなかった方向から聞こえてきたとき、麻奈(マナ)は意表を突かれすぎてろくに反応もできなかった。 秋から冬へと、季節が移ろいつつある夜。半月より少しふっくらした感じの月は綺麗だが... 2020.08.20 優しい月-Missing link-